「自分といたら楽しいよという思いを、その声に乗せるのよ矢野。それができなきゃナンパなんかやめてしまいなさい」とボイスレコーダーは言った。

ナンパテクニック

ナンパがうまくなりたいと思う人たちは、自分の声をどう発信するかよりも、自分の声がどう受け取られているか?ということに関心を持つようになる。

それを確かめるには声を掛けた女の子に聞いてみるという方法や、同じようにナンパする人に聞いてもらう方法がある。しかしよりスタンダードな方法というと、ボイスレコーダーで自分の声を録音してみるという方法になるだろう。俺も例に漏れず、ボイスレコーダーを持っている。ただ俺の所持しているボイスレコーダーは、購入の主目的がナンパ音声の録音ではないため、ちょっと大きくて持ち運ぶことはあまりないが。今はめっちゃ小型の物、ペン型の物なども出ていて、ナンパがうまくなりたいなら必ず1つは持っておいたほうがいい。

なぜって、ふつう人間は、自分では相手が受け取っている自分の声が聞こえないからである。まぁ録音機を通すことによって、完全に再現することはできなくなるが、それでもほとんどの場合、こう見つめる機会になるはずだ。「自分の声ヤバっ!もっと声を磨かないと」と。

始めて自分の声を聞いた人は、たいていの場合ショックを受ける。もしも鏡が一部の人にしか流通していない物だったとして、ある日ふとそれを見たとしたら、「俺こんな顔だったのかよ!」とショックを受け引きこ籠るかもしれないが、ふうつ人は子どもの頃から頻繁に鏡を見続けているからそれはない。それに対して声と言うのは、なぜか自分で聞いてみるという機会があまりない。なぜか。とても大切なことなのに。まぁ声というのは、自分で発声して自分で聞くことのできるものであるが、この自分で発声して自分に入ってくる声というのは、言ってみれば、夜のショッピングウィンドウにうつる自分と言ってしまって差し支えない。つまり曇っているのだ。俺は小学生の頃に始めて録音した自分の声を聞き、あまりの低さに、もう子供じゃないんだと思った。まぁそれはともかく、

とにかくナンパのコミュニケーション能力を引き上げたいなら、必ず自分の声を録音して改善しなければならない。

俺の場合は何というか、めちゃくちゃつまらなそうだったんだ。テンションが低いというか。声に感情が乗っていなかった。これで何十声掛けもしていたら、最後のほうはもっとテンション下がって暗い感じになっているんだろうなと考えたらゾッとした。100声掛けしても成果が出ないという人がいるけど、声掛けが雑になっているというか、数が増えれば増えるほど声に力がなくなっているんじゃないかと思う。だからこそ俺は、少ない声掛け数で一人一人丁寧にいったほうがいいんじゃないかとも思っている。

俺はナンパでは声のトーンや抑揚がめちゃくちゃ大事な要素だと思っている。そして疎かにするわけではないけど、話の内容自体はそれほど重要じゃないと思っている。ナンパではよく声掛けのテンプレートが使われるが、同じセリフを言っても、話を聞いてもらえる人もらえない人、笑ってもらえる人、笑ってもらえない人がいる。ここには明らかに、文字という目に見える要素以外の何かが影響している。実戦でも、女の子はこちらを見るともなく、コミュニケーションの態勢に入ったり、心を閉ざしたりする。俺が発する言葉は、どちらも同じこんばんはという言葉。全く同じ女の子に声を掛けることはないから、根拠はないけれど、経験から培った感覚上、反応してくれた女の子も、もしもこちらの声のトーンが低かったり、嫌なことがあったりした日だったら反応してくれないんじゃないかというのはわかる。

無視が続く日は、場所が悪い(東京の渋谷や大阪の難波など)というのも考えられるけど、声に楽しそうな感じがなかったり、疲れている感じが出てしまっていたり、そういうことが原因になっている可能性も考えられる。

ナンパではファーストインプレッションで無視されても、その後の粘りで会話まで持っていけることがあるけれど、大抵の場合は、顔すらも見られず(※斜め前から入った場合は別)、こんばんはというたった一言で、相手に判断されたりする。正直な話、俺にはこの時の女の子の心情がわからない。話しかけてきた奴なら誰でもいいと思っていたのかもしれないし、誰が話し掛けてきても無視しようと決めているのかもしれない。それは俺にはわからない。だけど俺は、声のトーンや抑揚といった指摘すらされない要素の中に、ナンパの極意があると信じて、改善に努めている。