自分にはリアルな恋愛は無理だと諦めラブプラスを購入した大学時代

ラブプラスという恋愛シュミレーションゲームをご存じだろうか?発売されたのが2009年ころで、一時期社会ブームを巻き起こすほど話題になったゲームである。

ゲームの内容としてはあんま覚えてないけど、よくある恋愛シュミレーションゲームで、ゲームの中のかわいい女の子と恋愛するという想像通りのやつ。なぜ話題になるほど売れたのかは俺にはわからない。

高校時代の俺は、大学に入ったら毎日が合コン三昧の女の子に一切不自由しない生活が待っていると思っていた。子どものころから行きたかったクラブにも行き放題で、最高に楽しい恋愛人生が待っていると期待しまくっていた。ところがいざ大学に入学してみると、全くの期待外れとは言わないが、彼女ができなかった。合コンにも呼ばれなかった。サークル活動に積極的に参加して、女の子の連絡先をゲットしまくったはいいものの、そこから恋愛関係に発展することはなかった。

ヤバい…と思った。

新しい生活で新鮮なことがたくさんあったけど、女の子と遊びまくれるという俺の描いていたライフスタイルとは全然違う生活だった。大学時代初の夏休みには、誰とも遊ばずに家にひきこもっていた。

早い話が、俺は最早大学デビューに失敗したのである。もともと人づきあいが苦手だったのに、無理をし過ぎた結果、俺は何もかもが嫌になった。人と関わるのが嫌になった。それまでも俺は、人と接した後に、今日の自分はあんなこと言ってしまったとかつまんなかったとか思い悩むタイプだった。それでふとした瞬間に、せき止められていたコミュニケーションの苦手意識が濁流のように流れ出て、俺は人間関係を断絶したい衝動にかられた。

それで、はじめてのアルバイトを辞めた。友人からの電話を全て無視した。

俺は薄暗い部屋の中で1人の世界に籠るようになった。

 

夏休みが終わってからはそのまま引き籠るでもなく学校に通ったが、それは通うという言葉通り、ただ単位を取るために学校と家を往復するような生活にだった。ひどい日には誰とも会話しない日もあった。

こんなんだったら高校生活のほうがよほどよかった。

高校時代は縛りが多かったけど、縛られていたからこそうまくいっていたのかもしれない。毎日同じ授業を受けて、同じ時間に休んで、同じ時間に昼を食べて、同じ先生が嫌いで、同じ子がかわいいと感じて、同じだったからこそ仲違いせずやっていけたのかもしれなかった。

自由の一寸先は闇だった。

 

自由に恋愛できます。自由に講義スケジュールを組めます。自由にアルバイトできます。全てが己の意思に委ねられていた。

だけど裏を返せば、何もしようとしなければ何も起こらないということだった。

友人が大学を退学した。単位が足りなくて進級できない奴がいた。大学に通う電車の列に並ぶ代わりに、パチンコ屋のオープン前の列に並ぶ奴がいた。アルバイトに労力を注ぎすぎてテストの日に学校に来ない奴がいた。風俗にハマる奴がいた。

ごくふつうに中学、高校生活を送ってきたはずの奴らが、自由という権利を手にした瞬間に堕落していった。

サークルでかわいいと人気だった女友達が、もうしばらく学校に来てないと聞いた。

 

俺たちが今プレイしているゲームはどんなゲームなんだろう?

ゴールはどこにある?敵はどこにいる?

俺は、俺たちは正体不明の化け物に飲み込まれようとしていた。

 

そして俺は期待することをやめた。

 

期待するからつらくなるんだ。期待すれば今日をやり過ごすことはできるけど、期待通りにいかなかった時に傷つくことになる。期待しなければそんなこともない。俺は大学生活に期待するのをやめた。

それでナンパを始めた。

外の世界にはまだチャンスが残っていた。

外の世界で、ナンパという手段で成り上がってやろうと決意した。

 

とまぁそれ以来今に至っているわけだけど、大学生活の中で、もう自分にはリアルな恋愛は無理だと思って、もう諦めようと思ったことがある。それはナンパを始めたのに全然うまくいかなかった時だった。もう大学の範囲では恋愛するのは無理だと考えて、ナンパを始めたんだけど、ナンパも全然うまくいかなかった。まず声を掛けるのが無理で、何時間も何度もさまよった。まわりの奴らは関係ないと頭ではわかっていても、身体が動かなかった。ようやく声を掛けることができても、1日5声掛けくらいが精一杯で、番号交換も連れ出しも何もできなった。ナンパを始めるきっかけになったナンパブログのナンパ師は毎日のように即画像を載せていて、自分とのあまりのレベルの違いに自己嫌悪になった。

俺にはもうリアルな恋愛は無理なんだと思った。

諦めようかと思ったら少し楽になった。

俺にはリアルな恋愛はできない。他に何かあるはずだ。

それでラブプラスを買った。はじめて手にする恋愛シュミレーションゲームだった。

 

買う前は、これが俺の探していたものだったんだと思った。これでもう嫌な思いをしなくて済む。期待しなくて済む。誰とも関わらずに済む。俺はゲームの中の女の子と生きていく。本気でそう思った。

 

だけど実際にやってみると、1時間だってやっていられなかった。

 

やっぱりゲームにも期待したんだな…

 

それは俺が知っていた恋愛とはあまりにも程遠くて、俺はすぐにゲーム買取店に行ってソフトを売った。

 

俺は傷つくこともなく満足感も低い人生を歩むくらいなら、めちゃくちゃ傷ついてもたまに訪れる満足感がめちゃくちゃ高い人生を選ぶ。

 

俺はまたナンパするために街に出た。大学生活を再エンジョイするために大学で新たな活動を始めようと友人に連絡を取った。

俺は退路を断ち戦う人生を選んだ。

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