俺はフリーハグをするような男にはなりたくない

フリーハグと掲げた男女の横を通り過ぎる。一昔前は変な奴でしかなかった彼らの元に、次々と街の人が吸い込まれていく様子が見て取れる。

甚だ謎に満ちている。こんなにもフリーハグを求める人がいる街で、なぜ俺の「Free Dinner」が受け入れられないのかと。

まぁそんなことはどうでもいいが、俺にはフリーハグというものがよくわからない。

 

フリーハグの本来の目的とは、人と人とのつながりを大切にして、平和な世界を作っていこうというものであるはずだ。性別を超えて、国を超えて、人の温かさを感じるための行為であるはずだ

 

米国ではハグは日常のコミュニケーションの一つかもしれないが、日本では違う。それでも人を抱きしめるという行為は、万国共通の愛を確かめることのできる手段だ。嫌いな人を抱きしめたりしないからね。そういう信念があって、フリーハグは機能するものだと俺は思っていた。

 

ところが今や、フリーハグは暴走を始め、単なる下心の延長や、YouTubeのアクセス集めの企画に成り下がってしまっている。

果たして今、信念をもってフリーハグを実践している人がどれだけいるのだろうか?と俺は楽しそうな彼らの横を通り過ぎながら思う。

俺も飲みやクラブ帰りで酔っていたら、女子大生と、あるいはイケメン青年とのフリーハグを楽しんだかもしれないが、あいにく今は気分が悪い。

俺はどちらかと言うと下心でもってフリーハグを眺めていたんだけど、だからこそ俺は、絶対にフリーハグはしないと決めた。

何かそういうので「やった」って思うような男にはなりたくなかった。俺はその日、こんなふうに決意こそ熱かったが、ナンパのほうはからっきしで、誰ともハグせずに家路についた。

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