俺には女心がわからない。というかあまりにもわからな過ぎて途方に暮れている。

俺には女心がわからない。サンプルを集めれば集めるほど理解は深まると思っていたのに、それどころか、深く潜れば潜るほど謎は深まっていくばかりだった。

女の子という存在が、まだよくわからなかった頃、たぶん一般的な認識で言えば、それは童貞の頃を指すんだろうけど、正直に言ってしまえば、俺がまだ童貞を捨てようと足掻き、恋愛サイトや恋愛本を読み漁っていた時のほうが、女心をわかっていますと、言えたように思う。たとえそれが見当違いの見解だったとしても、今よりも自信を持って、恋愛というものを語っていたようにも思う。

俺はナンパをしているから、ごく一般的な男よりも恋愛経験が多い。出会った女の子の人数は多いし、いろんなタイプの女の子と出会った。ごくふつうの女子大生から誰もが羨むような美人、キャバ嬢からモデルまで、いろんなタイプの女の子と接してきた。

そして今、俺は心の底から何が正しいのかというのがわからないでいる。

 

他のナンパ師のブログを読んで、俺にはずっとわからないことがあった。それは、他のナンパ師が、連れ出しのOKをもらいキスまでできているのに、その先はダメと言われていたり、ホテルまで行っているのに何もせずに帰っていたりすることだった。俺にも過去に同じようなことがあるから、もちろんそういうことがあるのはわかるんだけど、どちらかと言うと、そこはこうするべきだ。俺ならこうするという主張がまっさきに浮かんだ。歯痒いというか。知ってて言えないモヤモヤというか。とにかく俺は、なぜそこまでいけるのに、そのナンパ師は最後(SEX)までいけないのかがわからなかった。押しが足りないのかもしれなかったし、そこまでいく過程のどこかでボロを出していたのかもしれない。

だけど最近になって俺が気付いたのは、本当に俺がわからなかったのは、そこまでいけるのに最後までいけないナンパ師の言動やマインドではなく、そこまでOKを出すのにその先を拒む女心のほうだったんだとわかった。俺が本当にわからなかったのは、女心のほうだったんだ。

 

俺は一般的な男と比べたら、女の子を誘うのがうまい、と思いたい。社内に気になる子がいたら、思い立った日の夜には食事に誘い出せるし、今すぐ街中でナンパして誰か女の子を連れてきてくれと言われたら、躊躇することなく声を掛けに行くだろう。

それは俺が、何をやるべきかをわかっているからである。ナンパではそれをルーティンと呼んだりするけど、俺はどう声を掛けて、何を話して、どうオファーを投げれば誘いに乗ってくれるかを知っている。知識としても経験としても知っている。頭と身体が覚えているのだ。連れ出した後に、何を話して、どのタイミングでどうボディタッチをして、その後どうやって1晩を過ごせばいいのかも知っている。

俺は俺のやるべきことを知っている。

だけどそのルーティンには、実はあまりのも大事な要素が抜け落ちていた。

それは他者の存在である。

 

その証拠に、俺は最近、連れ出したはいいものの何もできなかった。いつものやり方で、いつもの店で、100%成功すると確信したうえで、俺はあっけなく失敗した。

 

なぜか?

 

それは、俺のルーティンがその相手に通用しなかったからである。

 

そして俺は気付いた。

俺は機械的に自分の言動を相手に投げかけているだけで、相手の反応を考慮していなかったことに。この方法は大抵の場合うまくいく。だけどそのルーティンが通用しなった時、

俺にできることは何一つとしてなかった。

 

キスはできるのに連絡が途絶えたと報告するナンパ師も、キスもできて胸を触っても大丈夫なのにその先に進めないと頭を悩ませていたナンパ師も、知識や経験は持っていたのかもしれなった。我々はそういう時、もっと押すべきだったか?とか胸触るのはOKなのになんでその先はダメなんだよとか、男同士、ナンパ師同士で話し合ったりするけど、どんなに優秀なナンパ師からのアドバイスだって、それはもしかしたら机上の空論なのかもしれないのだ。だってその相手(女の子)は世界に1人しかいなくて、彼女たちの頭の中は誰も覗くことができないのだから。

 

化けの皮が剥がれ落ちた時、そこに残ったのはナンパを始める前の、オドオドし恐怖心に支配されたただの男だった。

俺は口説きのプロだった。だけどその枠から外れた相手に対応する力など、まるでなかったのだ。

俺は女心など、というか人の心など、

何一つわかっていなかったのである。

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