トランスと言えば渋谷ATOM TOKYO(アトム)っしょ

クラブナンパ

俺は時代に逆行している。最近よくトランスを聞いている。トランスが流行ったのは2000年くらいだったろうか?

俺はトランスが好きだった。

 

まわりの友だちがゲームだのおもちゃだの騒いでいた頃、俺は1人爆音でトランスを聞いていた。海外の本格的なトランスミュージックを好む音楽オタクじゃなくて、日本のクラブでギャルやギャル男が騒いでいる時に流れているようなトランスが好きだった。俺はまだ小さい子どもの頃からクラブやレイブで夜通し騒ぐことを夢見ていたのだ。トランスは俺のテンションを上げてくれた。いつかこの音楽と共に騒ぎまくる日々が来るのを夢見て俺は歳をとっていった。

俺のチャラさは生まれ持った一種の才能だった。

 

しかし堂々とクラブで騒げる年齢になった時、すでにかつてのトランスブームは過ぎ去っていた。

 

渋谷の街中からはギャルやギャル男の姿が消え、たまに見かける彼らはもはやカリスマではなく時代に取り残された化石のように扱われた。それまでとは打って変わって女の子は美白にこだわるようになり、ツヤのあるサラサラストレートこそがカリスマの条件になった。彼らのBGMだったトランスも同じようにフェードアウトしていった。いくつものクラブが潰れ、渋谷のATOMが最後の砦となるのみになっていた。

俺は日サロに行ったことがなければ髪を逆立てたこともないが、俺の憧れだった一つのカルチャーが終わったことに一抹の寂しさを覚えた。

 

2018年になった今、トランスブーム当時その渦中にいた人たちはみんないい大人になった。トランスのYouTubeのコメント欄を見ると時代の流れを感じる。彼らにとってトランスは若かりし日々のアンカーになっていて、すぐに当時の浮かれた熱気の中に自らを運ぶことが出来る。みんなにとってそれは古き良き思い出の1ページなのである。彼らが今どんな生活を送っていようと、トランスを聞けばあの頃に帰れるのだ。俺は今もトランスを聞いている。