クラブナンパにおけるハイエナの目を隠す方法

鋭い牙を隠し持って獲物を狙う自然界のハンター、ハイエナ。彼らににらみつけられたものは皆命を守るために防御反応を起こす。ある者は素早くその場を立ち去り、ある者は擬態することによってその身を隠す。

ナンパ師もまた、望む望まないにかかわらずハンターの目を持ってしまうという宿命を背負っている。

ナンパ師のターゲットはもちろん異性で、中には同性を好むナンパ師もいるかもしれないが、ナンパをしている時はもちろんターゲットばかりを目で追っているし、ナンパをしようと思っていない時でさえも、あの子に声掛けるとしたら何て声掛けかけようか?とかあの子のレベルはどのくらいか?とか考えてしまうようになる。それでナンパ師は、ナンパを続ければ続けるほどに、視力が発達していくという特徴を持っている。ここで言うところの視力は、視力検査で測られるような右目が2.0といった物を見る力ではなく、群衆の中から女の子だけを浮き上がらせ、さらにそこから女の子のレベルを浮き上がらせるナンパ師特有の視力である。この目はナンパを続けることで誰もが持ってしまうもので、これがあることで声を掛ける前からその後の展開の予測が可能になるという有難いものである。しかしその一方で、これはナンパというパンドラの箱を開けてしまったことによるペナルティの意味も持っている。街中の女の子はちょっとした男の視線の動きや身体の動きで、あいつに声掛けられるんじゃないか?と警戒態勢に入ることがある。その男が杖をついたおじいさんか、それともチャラチャラした奴かでも変わるが、女の子は男のちょっとした視線の動かし方に敏感であるのは間違いないと思う。ナンパやスカウトの多い場所では、駅に降り立った瞬間に声を掛けられ慣れている女の子であれば多少は警戒態勢に入ってはいるが。この女の子の警戒態勢に入るという意味は、我々が前方にチラシ配りの人を認識し、手が届く範囲を事前に避けたうえで、それでもチラシを差し出された時に決して受け取らないのと同じように、突然差し出されて(突然声掛けられて)受け取ってしまった(反応してしまった)という、意外性による反応の可能性をなくしてしまうということを指す。

クラブにおいては、街中でのナンパ以上にこのハイエナの目は深刻な問題になる。クラブにいる他の男がその状態にあるのを見たことがあるかもしれないし、もしかしたらあなたがその状態に陥ってしまっているかもしれないが、クラブでは、どう見たって狩りをしているようにしか見えない状態に陥ってしまっている人たちがたくさんいる。音楽を楽しむでもなく踊りを楽しむわけでもなく、つまらなそうに無表情でクラブ内を徘徊している人たち。彼らはクラブ内のハイエナである。そしてクラブ内のハイエナには魅力がない。なぜなら彼らは皆成果が出ずに焦っている余裕のない男たちだからである。ハイエナの目というのはもっとわかりやすく言えば、女の子を物色するというのだけど、この状態の何が問題なのかと言うと、この状態にある時、ナンパ師は楽しむというクラブナンパにおいて一番大切なことを忘れているからである。俺もかつて、自分がこの状態になってしまっているという事実に気付けないでいた。自分でも魅力がないとは薄々わかっていたが、周りの奴らがペアになっていくのやクラブのクローズ時間が近づいていることに焦って、一笑もせず深刻な顔でクラブ内を歩き回っていたことが何度もあった。こらはまさに悪循環だった。うまくいかないからつまらない。つまらなそうにしているからうまくいかない。だけど成果を出したいからつまらない状態のまま女の子を物色する。それの繰り返し。うまくいくわけがなかった。クラブ内でこのハイエナの目を消す方法は、他に大切なものを持つということだと思う。友達と一緒に踊りに来ていて、めっちゃ楽しいから他の人も誘いたいといったように。ナンパで成果を出すためにクラブに行くわけだけど、それをメインの目標にしないという絶妙な匙加減がハイエナの目を覆い隠すのには必要なのだ。

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